狂犬病予防接種と同様、毎年恒例と言ってもよい、「犬のフィラリア症」予防薬の投与時期となりました。
この病気は20年位前は多く、当時、犬の死亡原因の上位を占めていました。
私自身、子供の頃に飼っていた愛犬をこの病気で亡くしています。
現在は、確実な予防薬があり、毎月1回投与すれば、確実に防げる病気となりました。
今回は、この病気を知っているが、今まで予防をしていない、あるいは、全く知らないという飼い主様に、この病気の怖さと、私が実際体験した事を、数回に分けてご紹介したいと思います。
「犬のフィラリア症(犬糸状虫症)」
飼い主の皆様はご存知の通り、この病気は「蚊」が原因で罹る病気で、そうめん状の細くて長い寄生虫が心臓へ寄生します。
この「蚊」は「シナハマダラカ」や「トウゴウヤブカ」など、日本中どこにでもいる蚊が媒介します。
吸血するのはメスの蚊だけで、特殊な触覚で、数百メートル先からでも動物や人の息である「二酸化炭素」のニオイを感じ、興奮してその発生元に接近します。
「蚊」は二酸化炭素の濃度と温度が高い所へ向かう習性があります。
犬の平均体温は人より高く、38度台です。蚊の習性から考えれば、私達より犬の方が蚊に刺されやすいという事になりますね。
では、この寄生虫がどうやって犬の心臓へ寄生するのか。
簡単に説明すると、フィラリア症の予防をしていない犬の血を吸った「蚊」が別の犬の血を吸った時に、その刺し口から幼虫がその犬の体内に入り、成長をします。この犬もフィラリア症の予防をしていなかったとすると、体内に入り込んだ幼虫は成長を続け、最終的に新鮮な酸素や栄養を全身に行き渡らせる役目をする心臓に寄生し、心不全を起させます。
肺に詰まれば呼吸を阻害し、犬は呼吸をする事すら辛くなってしまいます。
心臓が正しく機能しなければ、全身が酸素不足になり、肝臓や腎臓など、他の臓器にも異常が起きます。
では、投薬の期間ですが、
佐賀県地域は大体、5月の末から12月までで、
蚊の発生する1ヶ月前から、蚊の居なくなった1ヶ月後までが投薬の時期と言われます。
フィラリア症の治療法は、
体内を廻った血液は新鮮な酸素を取り込む為肺に向います。この時通る血管(肺動脈)に詰まった成虫を駆虫します(フィラリアは、心臓の右側を占拠して成虫になります)が、重度のフィラリア症の場合治療によっては動物が死亡する危険性が高くなる為、ケースによっては治療出来ない場合もあります。(その場合は対症療法となります)
駆虫薬の作用により死滅した成虫が(肺動脈)の末梢に詰まり、肺の血流を妨げるため、一時的に呼吸が苦しくなったりするため、ゲージなどに入れて一切の運動をさせられなくなります。
早期治療で予後が良くなる場合もありますが、発見が遅かったり、重度の場合、予後はとても辛いものとなります。
投薬の注意としては、初めて投薬する場合、必ず検査が必要です。病院で、初めて与えます。と伝えて下さい。
有効な予防薬が出来た現在でも、ひと夏の投薬を怠れば発症する可能性はぐっと高くなります。ある先生にお聞きしたところ、1歳を過ぎた成犬で、フィラリアの予防をしていない場合、まず体内にフィラリアが寄生していると思ってよい。とのご意見を頂きました。
それを考えると、狂犬病よりはるかに怖い病気ではないでしょうか。
次回は、私が実際に見た、重度のフィラリア症に罹ったワンちゃんの様子をご紹介いたします。
すべての犬の飼い主様がこの「フィラリア症」の怖さを知っていただくためにも、少々きつい文面や画像になるかと思いますが、ぜひ最後までお付き合いくださいますよう、お願いいたします。